色無地:民芸紙、雲竜紙
色の基本となる「民芸紙」は、手漉き和紙を染めているので、ちぎると繊維が引き出され、ギザギザになります。
和紙そのものを背景にする場合に「雲竜紙」がよく使われます。
染め方は単色ですが、和紙を漉く時に楮(こうぞ:和紙の材料となる木)の繊維を一緒に漉き込んだものです。単色無地でありながら、漉き込まれた繊維によって少しアクセントが出ています。
漉きこまれた繊維が竜のように見える事から、雲竜紙と呼ばれます。
素材として利用されるほか、繊維だけを取り出して使用する事もあるようです。
多色染め:むら雲染め 典具帖、むら雲染め 揉み入り、茜染め 典具帖、柳絞り、落水紙 典具帖
山や湖の濃淡や、水の動きや木々の揺らぎを表現するのには「むら雲」を使います。
「むら雲」とは、わざとむらに染めてある和紙の総称で、雲が交じり合っているように見える事から呼ばれています。
むら雲には極薄の「典具帖」と「揉み入り」があります。
「典具帖」は極薄和紙の総称です。向こうが透けるほど薄い和紙になります。
「揉み入り」は新聞紙ほどの厚みで、ランダムに入った揉みが柔らかさと立体感を表現しています。
夕焼けや深みを増す青い空、複雑に重なる色あいを表現するためには「茜染め」を使います。
茜染めは横方向へ段々のグラデーションが出るように染めてあります。
インターネット店では、極薄の典具帖を販売しています。
木の皮や柳の枝振りを表現するためには「柳絞り」を使います。
柳絞りは、一方向のしわに合わせて染め分ける事で、木の皮のゴツゴツとした感じを表現しています。
絵の素材の他に、背景や額のマットにも良く使われます。
積もった雪や氷、雨空を表現する時には「落水紙」を使います。
落水紙は、和紙を漉く時に水滴を落とし、細かな穴を開けた和紙を指します。色はむら雲染めになっています。白はありますが、その他の単色染めはありません。