裏打ちって?

「裏打ち」とは、書道の作品を掛け軸や額に入れる時に行うシワ取り作業ですが、普通のクラフトではあまり使わない技術だと思います。
でも和紙をなにかに貼り付ける時に「どうしたらきれいに貼れるだろう?」と思ったことはありませんか?
裏打ちによって、その疑問は解消できるかもしれません。

今回はそんな裏打ちをちょっと取り上げてみようと思います。

裏打ちを簡単に説明しちゃうと、作品(本紙と呼びます)を裏打ち用の和紙と貼り合わせるだけです。元も子もないですが…
一番の特徴は、本紙と裏打紙を張り合わせた後、仮張り板と呼ばれる平らな板に貼り付けて乾かすことです。
和紙は水分を吸収すると伸び、乾く時に元に戻ろうとします。この時に四方が板に貼り付いていれば、止まる力と戻る力によって和紙が引っ張られ、そのまま乾くとシワが伸びているということになります。

改めてその効果を書き出すと…

  • シワを取る
  • 本紙に強度を持たせる
  • 伸縮を制御する

といった効果があります。

【シワを取る】
半紙以外の書道用紙は、多くが保管のために折りたたんでいます。書く時は文鎮などで折りジワが気にならないようにしますが、掛け軸や額装する場合は見栄えが良いものではありません。
また、墨の水分で文字周辺だけシワが寄ったりするのは普通に起きます。
これら細かなシワまで全くなくすことができます。

【本紙に強度を持たせる】
書道を行う人ならわかるかもしれませんが、紙によって筆の走りが変わります。かすれ具合やにじむ具合など、こだわりを持っている方が多くいらっしゃいます。
極端な例では、少し破れやすい紙のほうがかすれ具合がいいとこだわる方もいらっしゃいました。

和紙の強度は材質や素材の抽出加工の具合で決まります。
強い紙もあれば弱い紙もあるわけです。
完成した作品が、後々破れてしまった…ではちょっと切ないですよね…
表装することを考えると、強い紙を使ってくれれば良いのですが…作品にこだわりを持つほうが重要ですから、それを補う技術が発達したのかもしれません。

裏打ちによって、弱い紙や本紙の風合いを残しつつ、裏から強度を持たせることが出来ます。
さらに卓越した技術を持つ表具師さんともなれば、破れてしまった部分はもちろん、ちぎれて欠けてしまっていても、使っている和紙さえわかれば修復することが出来ます。
裏打ちとは話しが違いますが、掛け軸はいくらぼろぼろになってたり、色褪せていても、洗濯+再表装で蘇らせることが出来ます。そういう再生技術によって文化財はもとより、代々伝わる一般家庭の掛け軸などが守られています。

裏打ちは和紙に限らず、布に施すことも出来ます。
手ぬぐいでは、切り口からほつれが出てきてしまいますが、裏打ちすることでほつれが出にくくなります。
また、布は経糸と緯糸で織られているので、斜めに歪んでしまうことがあります。これも裏打ちすることで歪みを抑えることができます。
ちなみに布への裏打ちは、糊の調整が難しいです。そんな時はアイロン式の「簡単裏打ち ホットメルト」がおすすめです♪(宣伝!)



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【伸縮を制御する】
和紙の中には、もみしわ加工を施しているものがあります。
もみしわ加工の多くは、水分を吸収すると伸びます。そして乾く時にもみしわ加工の状態に戻ろうと縮みます。
この伸縮率がかなり差があり、思った以上に伸びてしまったり、縮みすぎて素体を反らせてしまったりと、何かと問題が起きます。
この問題を裏打ちすることで解決できるのです。
裏打紙以上に伸縮することがないので、仕上がりは思った通りになります。

もちろん、裏打ちする時点で伸縮する問題が発生するのでなかなか難しい…

でも!そんな難しいシワ加工の裏打ちも「簡単裏打ち ホットメルト」を使えば簡単♪(再度宣伝!)

裏打ちの手順は、工程は難しくないのですが、広い作業場と専用の道具が必要になってきます。
もちろん「難しくない」のであって、簡単ではありません。
細かな手順となるとブログでは連載になっちゃいますね。

とりあえずは、クラフトの上で和紙や布をなにかに貼り付ける時に、こんな方法もあるという参考になればと思います。
裏打ちに関して詳しく知りたい場合は、ぜひお問い合わせ下さい。

※Instagramに5月20日頃にアップした投稿をブログに変換し忘れていました…。

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