【丈夫な和紙】

和紙は大きく分けて「手漉き(てすき)」と「機械漉き(きかいすき)」があります。
和紙の強さは、一般的に機械漉きよりも手漉きの方が強く、使用している素材が混在していない物(例えば楮100%など)、そして当然ですが厚みがある方が強くなります。
とはいえ、紙であることには変わりがないので、水に濡れれば破れますし、日に当たれば劣化します。ご了承下さい。

生漉和紙:美濃紙石州紙吉野紙内山紙

すべての和紙の元となる状態を、「漉いたまま」という意味で「生漉和紙(きすきわし)」と呼んでいます。
産地や原材料によって特徴がありますが、多くの場合パルプを含まず、丈夫なものが多くあります。

美濃紙は表装の裏打ち紙として使われることが多く、薄くても破れにくい和紙です。厚みに種類があり、色々な用途に使える和紙です。岐阜が産地です。

石州紙は古くから作られている和紙で、昔は大福帳に使用されていました。水にも強い和紙です。鳥取が産地です。

吉野紙は、強度と柔らかさのバランスが取れた和紙です。表装の裏打ちや漆を濾す時に使われます。奈良が産地です。

内山紙は主に障子や灯籠に使われ、とても丈夫な和紙です。また「寒の雪晒し」と言って、水の純度が高くなる極寒の真冬に漉き、雪の上で晒すことで純白したものは最高級品とされています。残念ながらこの技法を継承する者が少なく、今では手に入らない逸品になってしまいました。長野が産地です。

強製紙:強製紙粕入強製紙

その名の通り、通常の和紙より丈夫さを求めた素材で作った和紙です。
強さを出すためにもみ加工が施されています。
和紙人形の着物や帯によく使われていますが、適度な堅さもあるため、花束のラッピングや包装紙としても使われます。
ランプシェードや壁紙として使う場合もあります。

強化する道具:柿渋UV防止スプレーつや出し液

いくら強い和紙と言っても限度があります。
水に濡れれば破けるし、堅いものや尖った物に当たれば破けます。
そんな弱点を克服するために、和紙に加工することでそれぞれの耐性をつけるグッズがあります。

柿渋は、昔から使われている防水塗料です。当店で取り扱うのは6年物で、通常の柿渋より熟成期間が長く、仕上がりの艶が違います。不純物が入っていないので飲んでも害はありません。が、まず飲もうと思わないほど、独特なにおいがします。
柿渋を塗った和紙は、乾燥すると撥水効果が出ます。昔の番傘は柿渋を塗っていました。色は濃い茶色になりますが、時間が経つと赤茶に変化していきます。

UV防止スプレーは、太陽光線のUVによって色が変わってしまうのを防ぐ効果があります。もちろん永久的な物ではありませんが、日の当たる場所への展示などの場合、効果が期待できます。
染料によっては色が変化する場合がありますので、本使用前にテストすると安心です。

つや出し液は、塗ることで艶を出します。樹脂系の塗料のため、乾いた後は硬化します。
塗り重ねるとアクリルのような艶を出すことも可能です。
基本的には2度塗り程度で、抑え気味な艶を出すように使われています。
染料によっては色が沈んでしまうことがあります。